地方の声の響く政治@


2015/09/10

試験問題漏洩と合格者発表から見る法科大学院制度

一級建築士の学科の試験に続き、司法試験合格者の発表がありました。
一級建築士については1011日の設計製図の試験に向けた準備が大詰めとなります。因みに課題は「市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅」です。今日的ニーズを反映したもので、受験予定者は関係する法令等を頭に入れておかなければなりません。6時間30分の激闘たいへんですよ!!

司法試験については1850人が合格し、私の友人も合格したようなのでたいへん嬉しいです。
法改正により受験回数の制限が「5年で3回」から「5年で5回」に緩和されて初の司法試験で、今回チャンスを得て受験した人が920人、そのうち158人が合格し、法改正により救済されたということになります。
 一方、予備試験通過者で合格したのは186人で、全体の1割を超えた。予備試験制度が突然採用され、法科大学院を修了しなくては受験が出来ないという前提が変えられたことは、法科大学院制度を大きく揺るがしています。
 平成164月に創設された法科大学院制度も10年が経過し、当初は合格者数3000人を目指し、合格率も78割程度を見込むなどとされたが、いずれも達成できないばかりか、前述の予備試験導入などにより法科大学院制度の在り方が問われています。

そのようななかで、政府は平成2730年度を法科大学院集中改革期間と位置づけ、抜本的な改革を行おうとしていますが、最初の制度設計に問題があったことや、縦割り行政(法科大学院は文科省所管、司法試験は法務省所管、司法修習制度は最高裁所管)の弊害もあり容易ではありません。
具体的には、養成しようとする法曹の数に対して、バランスを欠いた多数の法科大学院の設立を認めてしまったことや、法曹の需要予測を誤って弁護士が過剰になってしまったことなどにより、広い分野から人材を募り、実務に的確に対応出来る優れた法曹を養成するという、法科大学院本来の成果が十分に発揮される前に、合格者を絞るべきであるという議論が巻き起こっています。
その結果、法科大学院への入学希望者が激減し、将来の司法を担う優れた人材の確保に赤信号が灯っています。法科大学院において、未来に夢を描いて真剣に勉強してきた多くの若者が、多くのコストを負担し労力を費やしながら、当初の志を完遂できないまま去っていく姿を見てきた者として、積極的に法曹を目指す有為な若者が報われるような、しっかりとした制度の在り方を考えなければならない
 
司法試験の考査委員である法科大学院の教授が、教え子である受験生に試験問題を(後日の報道では模範解答まで)漏洩していたことが大きく報じられました。教授は、漏えいの事実を認めており、動機について「個人的な恋愛感情があった」との趣旨の供述をしているようですが、法律の専門家、しかも、これからの司法を担う法曹を教育する者が、私情で法を犯すというのは話にもなりません。  
三権の一つである司法権への信頼が損なわれてしまうだけでなく、司法試験合格を目指し猛勉強している学生たちの不信感を増大させ、司法における優れた人材を確保するという根本的な命題をも踏みにじるものです。 


司法試験問題に関しては2007年にも、その公正さを揺るがしかねない問題が発生しています。司法試験の問題作成に携わる考査委員が、法科大学院の教授として司法試験受験者となる学生を直接教えることには元々問題があり、考査委員と法科大学院の教授の兼務を禁止するなど、早急な対策が必要だと考えます。