司法制度調査会が開催され、司法外交の新機軸における5つの方針と8つの戦略について最終提言(案)を取りまとめました。昨年の12月より活発に議論してきたものが、ようやく提言するに至って本当に良かったと思います。
「拡大する国際司法空間で、ひときわ輝きを放つ日本型司法制度へ」をコンセプトに骨太の方針と戦略を提言することができました。
我が国は「法の支配」や「基本的人権の尊重」等の普遍的な価値を重視し、「世界一安全・安心な国」を構築してきました。現在のグローバル化・情報化が飛躍的に進展する国際環境においては、基盤となる日本型司法制度をソフトパワーとして位置づけ、我が国の経験をアジア諸国の国りに積極的に活かすために、新たな成長戦略として「司法外交」を展開していくことが重要です。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会において、我が国は開催地としてドーピング問題等の国際スポーツ問題等の裁定を迫られます。このような状況を見据え、ドーピング問題等の国際スポーツ仲裁事案の解決を国内で対応できるように、必要な環境整備を進める必要があります。
我が国の国際仲裁新規受理件数は、欧米諸国にはまだまだ遠く及びません。アジア諸国と比較しましても、シンガポールの10分の1にすら届かず、極めて貧弱な状況です。こうした状況を解消すべく、国内の仲裁施設等のインフラや関連法の整備を進め、世界に誇れるハブ機関となる「日本国際仲裁センター(仮称)」の設置を推進してきます。
その他にも、法制度のグローバル化への対応として、法科大学院における国際性の教育や司法試験合格者の国家公務員総合職としての積極登用、若手弁護士の国際展開の推進なども提言しました。特に、国際的な舞台で活躍できる法曹の育成が急務であることから、この問題に積極的に取組んでいきたいと考えています。