東京オリパラの開催を控え、健康増進法の一部を改正して施設等の区分に応じて、建物内禁煙(利用者に施設利用の選択が可能なものや、娯楽施設のような嗜好性の強いものは喫煙室の設置を可能とする)や敷地内禁煙を進めることが検討されています。そのようななか、厚生労働部会において、受動喫煙防止対策について関係団体からのヒアリングを受け、委員からの質疑が行なわれました。
医療関係の団体からは喫煙規制を強化すべきという点が強調され、遊戯関連団体やフードサービス関係の団体からは、分煙を推進することによって受動喫煙を防止しながら、人々の嗜好を守り経済活動に影響を来さないようにすべきであるという趣旨の意見が寄せられました。
ここで問題なのはタバコの煙のどのような成分について、どれだけの濃度になると人体に悪影響を及ぼすかという点が明確でないことです。この基準が示されないまま、規制を論じることは論理性を欠くもので、空気の浄化や、煙を含んだ空気の流れをコントロールすることによって、受動喫煙を防止できるのかどうかについても判断できません。
さらに、喫煙室の設置によって喫煙を認める建物について、そのスペックがどのようなものか明らかにされていないことも問題です。前述の基準と併せて、現実的な対応が可能かどうかの判断ができないからです。
空気清浄化の技術も大きく進歩しており、せっかく蓄積してきた我が国の進んだ分煙の技術をさらに高度化して、受動喫煙を防止しながら、嗜好を守り経済活動を阻害しないような方法を模索する必要があります。