衆議院憲法審査会が開催され、平成29年7月に衆議院憲法審査会委員をメンバーとする衆議院欧州各国憲法及び国民投票制度調査議員団が、イギリス、スウェーデン及びイタリア等における憲法及び国民投票制度に関する調査の結果が報告されました。
イタリアにおいて、上院の権限を大幅に縮小する憲法改正案に対する国民投票おこなわれ、その結果憲法改正案が否決されたという事例について説明がされました。イタリアの憲法上、上下両院で可決された今回の憲法改正案について国民投票に付する必要はなかったのですが、改正の民主的手続きの正当性を高めるために敢えて実施されたものです。
事前の国民意識調査の段階では、改正案支持が多数でしたが、その後の政局に流されて、レンツィ首相が進退を賭ける旨の発言までしたことと相まって、結果的にレンツィ政権への信任投票のようになってしまったことが、否決の原因だと評価されています。
我が国において、野党が安倍政権のもとでの憲法改正は認められないと主張していることについて、本来は改正する内容こそが問題なのであって、いかなる政権が推進するかを問題とするのはおかしいはずです。しかし、現実的には当該政権の評価を抜きにして、憲法改正はなし得ないということになり、憲法改正のハードルがたいへん高いことを感じさせられます。
それでも、憲法審査会委員としてしっかり取り組みます。