地方の声の響く政治@


2015/10/01

司法制度調査会法曹養成制度小委員会

 過日の司法試験合格者発表および試験問題の漏洩をうけて、平成27年司法試験結果、法曹養成の今後のあり方(司法修習生への経済的支援策を含む)、そして司法試験問題漏洩事件をテーマに司法制度調査会法曹養成制度小委員会が開かれました。

 司法制度改革において、法曹有資格者の活動領域が広くなる時代の到来を見越し、年間3000人程度の合格者を出すことを想定して、法科大学院を中核とする法曹養成制度がスタートした訳です。しかし、それに至るまでに弁護士数が過剰になることが問題となり、党としても昨年4月に今後3年間で合格者数をいったん1500名程度にしようという緊急提言をしました。
 しかし、その数値に近づくどころか、昨年の合格者数(1810)よりも、先日発表された今年の合格者数(1850)の方が増えており、多くの議員から「党の提言を無視したものである」「緊急提言を政府はどのように捉えているのか」など批判が集中しました。

 司法試験法7条では、「司法試験・・は、司法試験委員会が・・行」い、その「事務をつかさどる」(同法1221)とされ、同法8条では「司法試験の合格者は司法試験考査委員の・・判定に基づき、司法試験委員会が決定する」と規定されています。このように、試験問題の作成から、合否判定の基準、合格者の決定に至るまでの実質的権限が司法試験委員会に委ねられている状況において、外部からの意見がどの程度厳格に反映されるべきかは、難しい問題であります。

 原則論として、概ねの合格者数の目標を掲げる必要性を認めるとしても、司法試験もあくまで資格試験の一つであることからすれば、司法試験委員は概ねの合格者数を念頭に、自立的に定めた合理的な基準(合格点数)に基いて合否判定をおこなえばいいのであり、具体的数値目標を掲げて義務的にそれを履行すべきものとも思いません。
 一定の能力が担保された法曹有資格者として、その後において自由市場の原理に基づき選択されていくことは、むしろ資質向上のために必要なことであります。  



 今回の会議では、合格者数を減らすことを主眼とした議論にのみに終始した感があり、今後において、優れた意欲ある人材の確保をいかにするかという点についても、掘り下げた議論を継続する必要があります。
 司法の信頼を損ないかねない司法試験問題の漏洩については、次回の調査会で引き続き議論されることになりましたが、より深刻な問題であると考えており、しっかり対応してまいります。